経済・金融政策に関する提言

金融アセスメント

「怒り」を「知恵」にかえて今こそ「金融アセスメント法」を制定しよう

はじめに

近年の金融不安とりわけ北海道拓殖銀行や山一證券など大型金融機関の経営破綻に揺れた1997年秋以降、日本の国民は金融問題について様々な体験をし、いろいろなことを考えさせられました。

何よりもまず、国民はいわゆる「金融システムの維持」のために、多額のコストを負担する羽目になりました。公的資金による破綻金融機関の不良債権の買い上げ、金融機関への多額の「公的資本注入」、金融機関の不良債権処理に関する税の優遇措置などがそれです。

さらに、最近の超低金利預金も、実質的には金融機関の不良債権処理を助けんがための「預金者から金融機関への補助金」になっていると主張する人もいます。「金融システム」を利用するのは国民自身なのだから、その維持や補修のために国民がある程度のコストを負担するのはたしかに止むをえないことだとも言えます。

しかし、そうだとすれば、せめて、こうした事態が生じるに至った原因の究明が公的な機関で徹底的になされ、政治家や官僚、金融機関経営者などの名前も含めて、その責任の所在が国民に明らかにされてしかるべきです。

こうしたことがまったくなされないばかりか、一方では、「貸し渋り」や「貸し剥がし」が横行することによって、金融機関の「経営健全化」(自己資本比率の上昇など)に伴う「痛み」を、一方的に中小企業が負わされているというのが現状です。「大人しい」といわれる日本国民ですが、さすがに、こうした「理不尽」には、多くの人々が怒りさえ感じたのではないでしょうか。

私たち、「政策工房J−Way」――当フォーラムは、学者やジャーナリストなどで組織された政策立案を行う民間シンクタンクで、どの政党からも独立した非営利組織です――は、こうした国民的経験をムダにすることなく、むしろこの経験を生かして、日本の金融システムが国民の立場から見てより望ましいものとなるように、この度、「金融アセスメント法」の制定を提言いたしました。

それは、金融機関が経営の健全性を維持しながら、同時に、その社会的役割を積極的に果たすよう促すための法律です。この小冊子は、私たちが、こうした法律の制定を提言する意図がどこにあるかを解説的に述べたもので、とくに今回の金融危機の最大の被害者でもあり、また借り手の立場からの金融システム利用者の代表ともいえる中小企業経営者の方々に向けて書いたものです。

今後は、いわゆる「ビッグバン」によって金融機関どおしの競争が激化し、金融システムのあり方も大きく変化することが予想されます。金融機関間の競争激化と金融再編成のあおりをくらって、交渉力や情報収集力に乏しい中小企業の資金調達が不安定化することが懸念されています。

こうした不安定な時代には、「金融アセスメント」という考え方がぜひとも必要である、と私たちは考えています。一人でも多くの方が、本冊子をご一読いただき、私たちの提言について前向きにご検討下さることを心より願っております。

「金融アセスメント法」関係著書 ブックレット「今こそ『金融アセスメント法』を制定しよう」 2000年3月初刊。  定価500円

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