
金融アセスメント
「怒り」を「知恵」にかえて今こそ「金融アセスメント法」を制定しよう
第1部いま、なぜ「金融アセスメント法」なのか
V 「金融アセスメント法」の構造と手法
1.金融アセスメント法はどんな構造になっているのか
金融アセスメント法は、以下の6点について法的に規定することを主な内容とするものです。
- 金融監視委員会(以下、アセスメント委員会と称する)を設置すること。
- アセスメント委員会は、
- 円滑な資金需給
- 利用者の利便
- 金融機関経営の健全性
という3つの観点から、必要な情報を収集し、金融機関(預金取扱金融機関を指す、以下同じ)の活動について評価すること。
- アセスメント委員会が、収集した情報(ただし公開するにふさわしくない一部の情報を除く)および上記「2」に記した評価の結果を、評価対象金融機関に 伝えるとともに、下記「4」に記した審査会の審査を経た後、金融システムの利用者たる国民に適切な方法で開示すること。
- 金融機関の活動に関するアセスメント委員会の評価について、その正当性を審査する審査会を設置すること。
- 評価対象金融機関はアセスメント委員会の評価に不服がある場合には、上記「4」に記した審査会に再審査を要求することができること。
- 評価対象金融機関が支店設置または合併等の申請を行った際には、監督官庁はその認可の可否にあたって、アセスメント委員会の評価を考慮に入れるも のとすること。
2.どのような手法を用いるのか
さて、上記のような構造にある金融セスメント法を実効あるものにしていく ためには、その実施手法に関して、以下の4点についてより詳細に検討しておく必要があります。
- 実際の分析作業の担い手
- 調査項目の策定
- 評価の方法
- 金融機関に改善をせまるための ペナルティーのあり方、についてです。
- 分析作業の担い手について
現在の財務局ブロック(関東財務局、東海財務局…といった)ごとか、あるいは都道府県ごとに、財務局職員を中心にした――必要な場合には、公認会計士、都道府県職員、金融機関退職者などの専門家も含めて――「分析センター」を設置し、これをアセスメント委員会の下部組織とするのが適当なのではないかと考えます。
- 「調査項目の策定」について
これについては、現在の金融監督庁が収集・使用している情報を基本に考えていくべきだと思いますが、念のため簡単に整理しておくと次のようになると思われます。
- 円滑な資金需給について
基本的には、次のようなことを調査する必要があります。
- イ.評価対象金融機関が、その営業地域の資金需給においてどのような役割を果たしているか。
- ロ.なかでも、いまだ間接金融に大きく依存せざるをえない中小企業に対する資金供給について、その影響はどうなのか。
- ハ.一方的な融資条件の変更などによって資金供給の安定性にマイナスの影響を与えていないか。
さらに、こういったことを調査するために、それぞれの金融機関について、地域別、規模別、業種別の融資状況のほか、借入「申請」の件数やそれに対する「却下」の比率などのデータが必要になる――もろちん、「却下」がそのまま「貸し渋り」を意味するものでないことはいうまでもありません――と思われます。
- 利用者利便について
先ほども述べましたが、次のようなことを調査する必要があります。
- イ.金融機関側が融資条件を一方的に変更しようとする場合には、文書によってその理由を借り手に通知するといったことをルールにしているかどうか。
- ロ.「融資基準の公表や拒否理由の通知」など、借り手が利用しやすくなるような措置の実施に向けてどのような取組みがなされているか。
- ハ.「個人保証」や「連帯保証」等に関してどのような姿勢で融資がなされているか、その際、小規模企業に著しく不利な取引慣行があるとすれば、その是正への取組みはどうか
- ニ.その他、預金者や借り手の利便性を高めるためにどのような努力がなされているか、など。
- 経営の健全性について
- イ.不良債権額の開示
- ロ.引当金の状況
- ハ.自己資本比率、など。
- 評価の方法について
これについては先に述べた3つの基本項目―― a.円滑な資金需給、b.利用者利便、c.経営の健全性――のそれぞれについて、金融機関ごとにA=優秀 B=良好C=改善必要の三段階で評価するのが、国民にもわかりやすく、良いのではないかと考えます。
なお、「a.円滑な資金需給」および「b.利用者利便」の二項目については、 評価を二様に行う必要もあるかと思われます。すなわち、
- イ.地域別評価:地域(市区町村あるいは都道府県など)を基準にしてみた場合の各金融機関に対する評価です。
- ロ.総合評価:それらを総合して金融機関ごとに下した評価です。
- 「ペナルティー」について
これも先に述べたように、「アセスメント委員会が行った評価を、支店開 設や合併等の認可の際に、監督官庁が考慮に入れることによって、結果的に問題金融機関の業務展開に制限が課される場合がありうる」という形で、改善を促していくやり方が適当なのではないかと考えます。
以上のような構造と手法を有する金融アセスメント法ですが、いずれにしても、以上述べたことは一つの、しかもいまだかなり大まかな素案にすぎません。もっと多くの人々による前向きの検討を経て、実効性の高い、しかも歴史的に意味のある革新的な内容をもったものになることを念願しております。
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