経済・金融政策に関する提言

金融アセスメント

「怒り」を「知恵」にかえて今こそ「金融アセスメント法」を制定しよう

4.金融アセスメントをめぐる動向

記録 山口 義行

W マスコミにおける動向 2000年

朝日新聞 2000年9月29日 (掲載資料
見出し:貸し渋り体質変わらず、地域貢献度で評価

聞き手・くらし編集部浜田陽太郎)

――中小企業が貸し渋りで苦しんでいるという話しをあまり聞かなくなりました。

「確かに小康状態ではにあります。しかし、最近、ある中小企業経営者の集まりで 『都市銀行から二千万円借りようとしたら、同額の預金をしなければ貸さないと言われた』という話しを聞きました。本質的には銀行は変わっていないと思う。だから、中小企業の経営者は、銀行側の都合だけで突然、融資が受けられなくなるという恐怖を常に感じている」

「みなさんの周りで銀行の支店が次々と消えているでしょう。銀行が合併すると、営業地域が重なる支店は、どちらかが閉鎖されることになる。この状況では、経営状態が一定以下の貸出先は切り捨て、優良顧客だけ残すという行動に走りがちです。これは、金融危機の時、自己資本比率を維持するという銀行側の都合で、返済が滞ったことのない貸出先から融資を引き揚げた『貸しはがし』の構図と似ています」

■ 中小企業に冷酷

――大銀行は、中小企業向け融資に力を入れていると、盛んに言っていますが。

「ある銀行は『無担保無保証で一千万円までスピード融資』といった商品をつくり、それなりに努力しょうという姿勢は見えます。しかし、これは、改善を求める金融庁向けのアリバイづくりの色も濃い。また、貸出先を業種や規模で機械的に分類し、金利を一律に高くする『サラ金型融資』にならないように期待したいですね」

――ゼネコンのような大企業は、メーンバンクが債権放棄をしてまで守ります。

「かつては、中小企業もメーンバンクに大きな信頼を寄せていた。資金繰りが苦しい時には、金利の支払いは待ってくれたりする。そのかわり、担当者の成績を上げるために必要もないのに金を借りたり、預金してあげたりした訳です。こうした持ちつ持たれつが銀行との取り引きの魅力でもあったんです」

「しかし、今やその信頼関係が不信感に変わりました。交渉力の弱い中小企業に銀行は冷たい。抵抗の手段は『銀行に頼らない経営をしよう』ということぐらいです。だから、金利が低くても、お金を借りて新しい事業をやろうという気になれず、景気がなかなか回復しない」

■ 借り手と対等に

――では、どうすればいいのでしょうか

「銀行と借り手の間に、対等、公平、透明な関係をつくる必要がある。これまでは、銀行が情報を独占し圧倒的に強い立場にいました。私は、銀行がどのような公共的な役割を果たしているか、特に地域への貢献度に着目して格付けする制度づくりを提唱しています。具体的には、地域や中小企業向けの融資状況、融資拒否の理由や貸し出し基準の開度合いなどによって定期的に評価し、それを公表します。格付けが低いと、支店開設などに影響するようにすれば効果があるでしょう」

――市場の評価だけに任せるわけにはいかないと。

「銀行は公共的な存在だから、公的資金が注入されたのです。単に、信用秩序が崩壊すると困るからではありません。であれば、どのくらい公共的な役割を果たしているかを査定して、国民がその結果を知る仕組みが必要です」

「同じく公共的な存在である病院を『いくらもうけたか』だけで評価する人はいない。効率よくカネもうけするのなら、妊婦さんは帝王切開してさっさと帰してしまえばよい。そんな病院はだれも支持しない。企業の環境対策度によって格付けする考えとも共通点があります。収益性や自己資本比率と、公共性の両輪で評価する必要があるのです」

――銀行は嫌がるでしょうね。

「しかし、銀行にとっては悪い話ではない。これまでは、八割の企業に良いサ―ビスをしても、二割に貸し渋りしをすれば、そちらの声が拡大されて、実態以上に悪者になった面もある。だったら、八割への良いサービスがきちんと評価される仕組みをつくり、それでお客さんに指示してもらった方がいい。大蔵省や金融庁の顔をうかがって『上を向いて』ばかりいないで、もっと利用者の方を向いて欲しいものです。

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